グレ釣り
グレ(メジナ)を釣りに四国まで行ってきました。(91年4月)
4月6日 雨の中、叔父のワゴン車に4人乗って出発。 神戸からフェリーで高松へ。 4時間弱の船旅の後は、しつこく降り続ける雨の中 松山方面へ国道11号をひたすら走る。 しかし、目的地の<武者泊>が高松から車でなお7時間もかかるとは つゆ知らなかったのであった。
神戸を出てから11時間!後。 ようやく<武者泊>にたどり着いた。
磯へ渡してくれる渡船の出発まで残り1時間。 仕掛や準備をしているとまたたく間に時間は過ぎ去り とうとう徹夜。一睡もできず午前5時半の船に乗ることになった。
雨はまだ執拗に降っている。
少し前に買ってまだ使ったことのなかったレインコートを試すいい機会ではある。 それに今回、必需品だということで、あわてて買ってきたライフジャケットと 磯用ブーツ。 完全防備で船に乗る。
まだ暗い中、船着場を出た渡船は、すごい速さで走りだした。 仲間の話によると、新鋭の高速大型船だそうで、 ちょっとこんなに速い船はないのだそうだ。 走るうちに夜が明けて白みだした。 船尾に座っていると、さすがにうとうと眠たい。
沖の磯に到着。 急流の中に孤高にそびえ立つ岩礁に4人ほどが渡る。 渡船が複数で出る場合は、最初のポイントだけは無線で連絡を取り合いながら 一斉に渡すことになっていて、そのため各船の用意が整うまで 数分くらい時間待ちをするのである。
最初のポイントに渡した後は、ヨーイドン。 猛スピードで次のポイントに向けて突っ走る。 後のポイントは先着順だからぐずぐずしていられない。
磯に降りるのに手間どっていたりしたら、容赦なく船頭の怒声が マイクで浴びせられる。<はよせんかー!>
仲間4人のうち、ベテラン2人は、足元を潮が洗う磯に渡る。 道具類をぶらさげるための鉄棒を船から持って降りる。
叔父とぼくは3番目のポイントへ。 絶壁から10mほど離れた離れ磯におろされた。 船がタイヤをつけた舳先を岩礁にひっつけている間に ひとりが先に渡り、あとの者が道具やクーラー、バケツなどを素早く手渡す。 島をミニチュアサイズにしたような形の岩礁は4畳半くらいの広さ。 船が行ってしまうと絶海の孤島にふたりきり残されたという気分になる。 絶壁には海蝕洞がふたつ口をあけていて、ドーンという波の音が 時折聞こえてくる。
ほんとに景色のいいところである。 ボーズ(全然釣れないこと)でもいいやと思う。
さて、戦闘開始。
竿は5.4mの1号磯竿。 ズーム式になっていて4.5mに縮めることもできる。 4号の道糸に3号のハリス(仕掛の糸)をつけて ハリは3号グレ針。 プラスチックボールの飛ばしウキと中通しのウキをつけて ウキ下は1ヒロ半。 その真ん中あたりに小さなカミツブシ鉛のオモリをつける。 この仕掛は今朝、着いてすぐに教えてもらいながら 準備しておいておいたので、あとはエサをつけるだけである。
第1投。 ボイルした沖アミを10ほどつかんでは型の良さそうなのを 針につけて、残りは寄せえさにまく。
釣り始めてものの5分もたたないうちに最初の1発。 ウキがスーッと水面下に沈むのが見えると強い引き。 竿が折れそうなほど丸くしなる。
やった! 青い魚体が水面から飛び出してきて磯の上に乗った。 30cmほどの型の良いグレだ。 初めての磯釣りにしてかつ初めてのグレ釣りにしては上出来だ。 これでボーズはなくなった。嬉しい。
その後も、30cm前後のグレがポロポロと釣れる。 午前9時。船が<昼の弁当>を持ってくる。 といっても朝飯を食ってないぼくたちにとっては 実質的な朝食である。 折りよく雨もあがっていたので、また降ってこないうちにと 弁当をかっこむ。
足元にはマキ餌によってきたエサトリどもが群れているのが 透き通って見える。 針にエサをつけても、ものの30秒ともたないのは こいつらのせいである。 グレにまじって、カワハギ(丸ハゲ)の大きいのがかかった。 カワハギもこれくらい大きいとグレ並に引きは強い。 こんな外道は大歓迎である。
昼前から雨が本降りになってくる。 雨音が激しく聞こえ、視界が悪くなる。
釣りに雨はかえって好条件とかで、人間の姿が魚から見えなくなるので よく釣れるのである。
3時に船が迎えに来たが、雨がぱらつく一日だった。
本日の釣果。30cm前後のグレ20、カワハギ7。
エントラントのレインコートはこれだけの雨にも快適性を失わず合格。
風呂に入った後は、宿の名物かつおの刺身をおいしくいただく。 これは絶品で実にうまかった。地場醤油の甘味とぴったりする。
同行のベテランに言わすと、ドシロートのぼくがこんなに釣れたのは 奇跡的だそうで、<こんなに釣れるもんじゃないよ>ということだ。 しかし、さすがに師匠たちは、数はぼくと変わりないものの 型は40cm以上ばかりをクーラーに入れていた。
昨夜から寝てない一行は、夕食が終わると、 ただちにふとんにgo! 6時にはぐーぐー高いびきだった。
4月7日 きょうも雨だった。 きのうの濡れたレインコートを着るのはいやだけどしかたがない。 午前5時起床。釣り宿で朝食。
きのうと同じ渡船に乗って出航。 しかし、きょうは風が強い。 きのうの磯は風向きが悪いため、別の磯へ。
絶壁の割れ目にきょうは降りる。 V字型の割れ目に押し込められたような格好で釣ることになる。 雨はぱらつくが小雨。向こうの空にはわずかばかしの晴れ間が広がりつつある。 昼からは晴れそうだ。 朝食を食べてすぐにひどく揺れる渡船に乗ったのが悪かったのか 少し気分が悪い。 V字型の割れ目の壁にもたれてしばし休息。 ゲロゲロと吐いてコマセをまく。
すぐ横は大きなサラシ(波が岩礁に当たって空気を巻き込んでできる白い渦) 時折、大きな波が来ると、ぼくが立っているV字型の割れ目も波の戻り道に なってしまう。 そんな時は足でクーラーやバケツを押さえないと波にさらわれてしまう。 その後は割れ目の中には溝状のタイドプール(潮だまり)ができる。 したがって、ぼくの足元はいつも水につかっているということになる。 バケツで水をかい出してもいいのだが、次の大波でまた元の木阿弥となるので 無駄な努力はしない。
さて、気分もおさまったので、本日の釣りを始める。 壁にもたれて竿を出し、横目でウキを見るという変な格好である。 足はV字型のもう一方の壁に当てる。 傍目には楽そうな釣りだが、そうではない。 首が疲れる。足が疲れる。
着いてしばらくは完全に風裏だったのか、無風に近かったのが、 風が当たり出した。時折突風が、風向を定めずに吹いてくるので 始末が悪い。 その度に、V字型の壁のどちらか風当たりの弱い方に体を避難させることに なる。 叔父が帽子をあっという間に飛ばされる。
しかし、釣りの方はきのうと同じく快調、快調。
ベテランの師匠に、<2日続けては釣れんで>と おどかされてただけに、本日も少し型は小さいながら順調に釣れるので まったく嬉しい。これがビギナーズラックというものか。
20cmクラスと小ブリながらも、エサトリにエサを取られなかったら 必ずグレがかかるという入れ食いに近い状態で、 外道もわずかカワハギが2匹だけでグレばかり。 足元のタイドプールにどんどん釣ったグレをほりこむ。 大波が来たら、せっかく釣ったグレが流されては困るので エサのオキアミを入れた長方形のバケツをダムがわりにせきとめる。
20ほどグレがたまると、しめてクーラーへ。 クーラーは流されないよう、一段上の岩角にひもでぶらさげてある。 いつのまにか、クーラーがグレでいっぱいになる。 ゲーッー。きょうも大漁だ。 昼からは雨も上がってすっかり晴れてきた。
本日の釣果、20cmクラスのグレ40ほど。カワハギ2。 きのうに比べると数はあがったが、型はちと小さい。 一発大物を狙いたかったが、そりゃぜいたくというものか。 迎えの渡船に乗るのに、クーラーがずっしり重い。 2日で合わせてグレ60、ハゲ9ということで 大満足君である。
すっかり晴れ上がった気持ちのいい空の下、 絶景の続く宇和の海を眺望しながら 11時間の帰路についたのであった。