ディンギー

DINGHY

ヨットの中でも、エンジンを持たず、セイルのみで帆走する小型のものをディンギーといいます。91年夏、ディンギーの練習を始めました。


午前の部

ネット仲間で遊び仲間でもあるGさん(爺さんでもいいけど)がヨットをおせーたると言うので、8月14日芦屋の浜へ行ってきやした。

レッスンは10時から5時まで7時間という、ヨット初めての人間に対しては、過酷ともいうべき時間割ではあるが、小型船舶とはいえ、船長?のわたしは決して弱音は吐かないのだ。

cicala.gif (3401 バイト)ヨットは乗員2人用のシカーラという練習艇。あと2名くらいは乗れるくらいの大きさはある。ま、思ってたよりはデカい。

まずは、艤装。

船体にマストを立て、ブームをつけ、セール(帆)を前後2枚張り、ラダー(舵)を取り付け、調整用のロープを通す。。。等など。要するにヨットの組立作業であるが、これをしなければならない。カバーを外せば、さあ出航というモーターボートとは、ここがちがう。普通なら所要時間30分というこの作業を、説明がてら<させられる!>ので、小1時間かかってしまったが、まずは無事、艤装完了。パチパチ。

hopper.gif (3067 バイト)ここで、ヨットの構造について簡単に説明しましょう。数字の4はなーに。という文部省推薦の唱歌があるけれど。。これはほんまは反対なんですわ。4の右側が船首方向になります。メインセール1枚だけのもっとも簡素な構造ですが、一人艇のトッパーとかのヨットがまさしくこれです。4の横棒がブームです。縦棒がマストです。ブームは風向きに応じて、左右に動くようになってます。つまり、マストとブームで三角セールを引っ張って、船体にマストを突き刺したら、あらヨットちゅうわけです。

2人艇の場合は、ジブセール(前帆)も張りますので、相合い傘みたいなかっこになります。傘の下に太郎・花子ちゅうアレですな。

船を水面におろすには、カートに乗せたまま、岸壁の一部が斜面になっているので、そこをゴロゴロ引っ張っておろせばよい。おろす方は万有引力の法則で楽です。ヨットが水面に浮かんだところで、乗船します。残ったカートは係員がひっぱりあげてくれて、行ってきまーす!というわけ。

風は追い風。ヨットハーバから海へつながる水路を音もなくスイスイ進む。ホエホエ、気持ちがええ。岸辺で釣りをする人もちらほら見える。その前をゆうゆうとヨットは走る。けっこう速いもんやね。と、驚くわたしにGさんは、もそっと風があったらええのにー、と、不満顔である。

そんなもんかいなー?と、その時は疑問に思ったのであった。

さて、広い海面に出て、いよいよ、練習。ここまでは、ヨットの前側でジブセール(前帆)を風向に応じて、右のロープを引っ張ったり、左のロープを引っ張ったりしていたのだが、(ほんとはシートとかいうらしいのだが、ややこしいのでロープにしておく)いよいよ、メインセールとラダー(舵)を扱う練習に入った。

一人艇の場合は、先ほども書いたように、メインセールしかないのだから、はっきりいって、メインセールとラダーだけで船は操縦できるのであーる。つまり、2人艇とはいっても、後側が重要で前側は<お猿電車の運転手>という次第。

で、ただちにうまく操縦できたのか?というと、そうではなかった。最初は、くるくる船が回って、ワンワンワン。メインセールの横棒であるブームが左右に振れるもんだから、頭をすっこめないとガツーンとやられるから危ない、危ない。

Gさんに、なにしてまんねん?と言われる。(が、決して怒らないのが、このおっさんのええとこや)しかし、あっしもさるもの、しばらくすると体勢を立て直した。コツがだんだんわかってくると、簡単である。

まずは、追い風受けて、ラン。これはメインセールを右か左に広げておけばいいので、あとはラダー(舵)の操作のみ。帆掛け船という次第だが、速力は出る。船尾方向を見ると、引き波がけっこう立っている。

次に横風を受けて、走る。(アビーム)これが風を切って走るので実に気持ちがいい。船が風下方向に倒れる(ヒール)するので、反対側の舷側に座ってバランスを取る。風が強くなってくると、船底のベルトに足首をかけてお尻も上半身も舷の外側に水平に突き出して走る。(ハイクアウト)これが実に痛快である。頭のすぐ下を海面が飛ぶように通りすぎていく。ときには、波しぶきを頭にかぶることもある。風が強いときは、モーターボートなみの速さも出る。

ただし、ハイクアウトのときは、メインセールのロープの引きとラダーの加減がひとつ狂うと転覆(沈)という羽目になる。ハイクアウトしても反対側の舷ぎりぎりまで水面が迫ってくることもある。

ほれ、あっこで沈してるで!と、Gさんの嬉しそうな声。

船底を上に向けて見事に転覆している。早速、Gさん、転覆した場合の船の起こし方を教えてくれるが、ま、実際に沈してからでええやろ、と馬の耳に念仏であった。

午前の部、最後のレッスンは風上走行。ヨットは厳密には、風上方向左右45度内へは走れない。では、風上方向へどうしても進みたい時はどうするかというと、ジグザグ走行をするわけだ。これをタッキングという。

風上方向へ、45度以上の角度をとって、右へ、次は左へ、という具合に進む。これが実は初心者にとっては容易ではない。

なぜなら、進行方向を変えるたびに、メインセールが左、右、左、右と変わるから、さらに、そのたび、ブームがブーンと飛んでくるから頭を下げてよけなければならない。

風がきつかったら沈やったな!とGさんにイヤミ言われながらも、なんとかクリア。

なんでタッキング(風上方向に進む)なんかせなあかんねん?と疑問に思ったのでしたが、そのわけは午後の部最後になってわかったのであった。

おなかがそろそろ減ってきたので、ひとまずヨットハーバーに戻ろう。

幸い、海風の追い風、わたしの操縦で水路を楽々とヨットは進み、無事帰港。

午後からも使うので、桟橋に係留。メインセールはおろしておく。

沈(チン)がなかったので、着替えも要らず、そのまま、車に乗って近くの中華へ。その後、午後の紅茶を飲んで、ゆっくりした昼食の後、いよいよ午後の部のレッスンとあいなる。                    


さていよいよ午後の部

昼からも沈(チン)せんかったら、練習のために最後に無理矢理沈させましょね!なんて大口たたいて出航。係留しておいた船のロープを解いて、これまた追い風で楽々と進む。

昼食前にハーバーの前にいたカヌーたちはもういない。こどもたちがけっこう上手にカヌーをあやつっていたっけ。カラフルなセールボードは相変わらず多数、水路内をうろちょろしている。

着岸、離岸のときだけはGさんが後ろ側に座って操縦するが、ハーバーを離れるとすぐに交替。メインセールのロープとラダーを握る。Gさん、生徒が優秀?なもんで安心して任せておけるのはいいのだが、手持ちぶさたで退屈しているようすではある。

水路から外に出ると、午前のときよりは、風が強くなってきている。横風を受けて走ると、爽快にヒール(傾く)する。舷縁ぎりぎりに水面を走らせて、ハイクアウト。すごいスピードが出る。

あっという間に西宮の沖へ。Uターンすると、今度は東神戸のフェリーセンターの手前までたちまち走る。

風のある時のヨットは実に愉快痛快奇々怪々の怪物くんみたいに速い。これが、ヨットの醍醐味ですわ!と、Gさんの声。

うーん、納得。のめりこみそう。もうのめりこんでる。

メインセールのロープを握る手が痛い。マリン用の手袋を買ってくるんだっとなあ、と、思う。

風が強い。強く、もっと強く引っ張らねば風に負けてしまう。ぐーんと引っ張ると、ヒール。船が風下方向にぐーんと傾く。上半身を目いっぱい反対側に突き出してハイクアウト。バランスを取る。

バサッ、バサッ。。波のスプレーを顔にかぶるが気持ちがいい。転覆一歩手前まで傾いたときは、ラダー(舵)とロープをほんの拳ひとつくらいゆるめてやって調整する。東神戸沖と西宮沖を何度も何度も往復してスピードを楽しむ。防波堤で釣りをするひとの姿も見える。

Gさんに、このあたり、タチウオ釣りでにぎわうところですわ。と説明する余裕?さえ見せる。

午後4時をすぎたあたりから、風がかなりきつくなってきた。波も出てきた。

何回目かの往復運動の後、船をUターンさせる際、舵の切り方が足らなかったのか、船が風上に向かって止まってしまう状態になった。

船を走らせるためには、右か左かどちらかに船首を向けなければならない。舵を切ってみるが、船は依然風上に向いたままである。

Gさんが、この風の中、風上に船首向けたままでおれるちゅうのは高等技術でっせ!とからかう。

と、あせるうちに、なぜか船がくるりと回りはじめた。と、思うまもなく、トンネルへ。ではなく、横風をくらって、傾く。

あわてて、バランスをとろうと反対側の舷に移るが、時すでに遅し。あれあれという間に、船がせり上がってきて、なぜか転覆。とうとう沈。

水はけっこう冷たい。けっこうゆっくりと転覆するので余裕をもって逃げることが出来ることがわかった。早い話、樽まわしみたいなもんである。あやまちはやすきところになりて。。。(徒然草)だな。

なんで、こんなとこで沈しまんねんな!というGさんの声。ぼくかてなんでかわかりまへんわ。

ま、ちょうど<沈>の練習せなあかんとこやし、、都合よく? 転覆して底を見せている船体を起こすレッスン?に入る。

まずは、船首を風上に向ける。というのは、船体が起きあがったときに、船首が風上に向いていないとヨットが走っていってしまう恐れがあるからだ。船は出ていく、乗り手は残るでは困るよね。

次に、船底から突き出ているセンターボードというフカノヒレみたいなやつをつかんで舷側に足をかけて這い上がる。

沈なんかせーへんわい!となめていたので救命胴衣のチャックをしめずにあけたままにしていたのをGさんに見つかって、あわててしめる。しかし、積み荷のウーロン茶の缶はあわれ海面にプカプカ浮いている。ウーロン茶の缶カンをしっかり回収してから船底に這い上がろうとしたのであったが、缶を握ったままでは這い上がれる筈がない。なきなきやむなく缶を放棄。こんなことなら、さっさと飲んでおくんだった。

船を起こすには、センターボードを手で持って、足を舷側にかけて思いきり体重を後ろにかけて引っ張りおこすのだが、2人艇の場合はいくらぼくの体重でも無理。Gさんがぼくの肩をつかんでふたりがかりで引っ張る。

げーー、センターボードをつかんでる手が痛い!そのカイあって、船体はゆらりと傾いてきて、回復。ここでスカタンすると、今度は行きすぎて向こう側に転覆するので要注意。

しかし回復したとたん、強風のせいか、風上に向けているにもかかわらずヨットがそろそろ動き出す。ここで走っていってしまわれては大変としがみつく。船尾から這い上がるのだが、救命胴衣がひっかかってじゃま。

ようやく船の中に這い上がって、Gさんを引っ張りあげる。沈したらラクやない!というのが結論であった。

しかし、Gさんによると、沈は何回してもかめへんそうで、一回しといたら、もうこわないからええやろちゅうことでした。それでも、沈したらラクやないで。と、つくづく思うのであった。


さて、沈に懲りてとっとと尻尾を巻いて帰るかというと、さにあらず。風の強いのはもっけの幸いとばかり、濡れねずみのまま、アビーム(横風走行)で突っ走る。ヒールは転覆寸前まで傾くのをぎりぎりいっぱいハイクアウトしてバランスを取る。

さすがに強風。すごいスピードが出る。ドバッ、ドバッ、、波しぶきがハイクアウトした上半身いっぱいにかぶる。もう濡れついでである。沈せんでも、どうせ濡れとるわい。と開きなおる。もっかい沈してもかめへんしな。気持ちイイ!

ロープは目いっぱい引っ張るから腕力はつくし、ハイクアウトは腹筋運動やから腹はへこむやろし、いい運動になる。しかし、思ったほどは体力はいらなかった。というのは、楽々走れるときもあるから。

適当にやぶれかぶれで遊んで、ちょうど時間となりました。ぼちぼち帰港しよう。あれあれ、もう一隻沈してるで。なかなか起きあがれないようすだ。アッ、せっかく起きあがったのに、またまた沈してしもた。と、他艇の沈は、自艇の喜び。

Gさん曰く、沈したら自力で起こす。だれも助けてくれへん。

で、いよいよ帰港の途につくことになったのだが、悪いことに、水路はちょうど、まともに風上方向。ヨットは風上方向左右45度以内へは進めない。左右45度以上の角度でジグザグ走行をする。午前の部で最後に練習したタッキングをするわけだ。

水路は狭いから、ジグザグ走行は、距離がいくらも稼げない。

ついでに書くと、無風の場合は、ヨットはまったくお手上げである。風がぱったりやんでしまってぽけーっとするだけで、どうしようもないことも午前中にはあった。それよかましか。

Gさんが、な、タッキングがだいじなこと、わかったやろ、と言う。なるほど、なるほど。

右に走り、左に走り、また右に走り、、と、なんぼも進んでないのに、水路の岸壁が迫ってきて方向転換せざるをえない。タッキングする度に反対側の舷に座らなあかんし、メインセールのブームがとんでくるのをかわさなあかんし、けっこうじゃまくさいがこれもまた練習である。

昼めしに帰ってくるときは追い風でラクでよかったですなー。とついぼやいてしまうのである。。

風は相変わらず強いので、タッキングしたらすぐハイクアウトという案配で、ヨットの練習総ざらいという感もある。

レスキュー用のエンジン付きゴムボートとすれちがう。先ほど沈してたヨットの帰りが遅いので助けにいくようだ。ロープで牽引してもらうのだろうか?内心、ええなあー、とうらやましく思う軟弱なわたしである。。

さて、十数回もタッキングを繰り返しただろうか。突然、船が大きく傾いたと思ったら、Gさんが、耐えきれず、ボチャンと落水。船体はもう垂直に立ってしまっている。しかし、あきらめてはいけない。そそりたつ船体の上にしがみついて必死で転覆を免れようと努力する。

転覆したろかどないしたろか?と考え込んでいた船体がようやくあきらめて元に戻った。ふーっ、やれやれ、おれだけでも助かった。しかし、Gさんは、あわれ水の中である。

船は風で岸壁の方へ流されている。とりあえず、船首を風上に向けるが、それでも流されてとうとう不時着岸。Gさんが泳ぎつくのを待つ。

げーー、疲れた!と、叫びながらGさんが船に這い上がってきた。救命胴衣なかったら溺れとったで。と、弱音をはく。

なにしとったん?とたずねると、いや、ロープがすべってバランス失うてボチャンや。とGさんの弁明。

それにしてもあんだけ傾いた船体、よう立て直したな、えらい!とほめてくれたので、これ以上追求するのはやめにした。ヨットハーバーの前まで来て沈したないもんなー。

それからも何度かタッキングしたあげく、ようやくハーバーに戻った。ハーバー前の水面では、相変わらずたくさんのセールボードが交錯している。ぶつけてもしらんぞー!と、Gさんはかまわず進む。ま、当たったところでたいしたことはないのである。

斜面になってる岸壁にヨットをつけて、カートの上に乗せる。斜面を引きづりあげるが、さすがに登り坂は重い。Gさんが帰港届を出しに行く。

ヨット置き場まであげたら、水道のホースで船体とセールを洗う。それから艤装の反対。舵をはずし、ブームをはずし、セールをおろして、きちんとたたむ。ロープ類を始末して、船内の水ぬきをする。

ヨットて簡単でおもろい!というのが結論でした。


浮遊物(ゴミ)

モーターボートやヨットで水面を走るとき、もっともいやなやつが浮遊物つまりゴミである。

ヨットの場合はまだしも、ボートのプロペラに浮遊物がからみつくと速度が目に見えて落ちる。

ボートのエンジンは水冷式だから吸水口を浮遊物でふさがれてしまうと、水温計が異常値を示す。こりゃ、なんかひっかかったなと疑ってみる必要がある。

その度、プロペラを水面からあげて浮遊物がからみついていないかどうか確認しなければならない。

実にさまざまな浮遊物がある。

ひもの切れ端。ビニール袋。紙きれ(日銀券は除く)。流れ藻。流木。発泡スチロール。プラスチックの破片。魚の死体。等など。

基本的には浮遊物を前方に発見したら舵をどちらかに切って避けて通ったらいいのだが、うっかりしていて直前に気付くこともある。そんな時は、船首をぶつけてはねのける。プロペラに当たって損傷すると大変だからである。

船首部分は強靭に作られているから、少々のことではびくともしない。取り除いた浮遊物は、もちろん、回収する。水面に投げ捨てると、再び、他の船に迷惑を及ぼす危険があるから。

なかには、汚い、臭い、どうしようもない浮遊物もあるので回収するのも楽ではない。浮遊物の多い水域はできるだけ通らないようにする。ひどい場合、浮遊物が帯状に漂っているところさえある。海水浴場とか港など人の集まる近くの水域は要注意である。

たまには、人魚姫みたいなハイレグGALの浮遊物にでも遭遇・回収できたらと願うのだが。。。。


ヨットどっこい

8月25日、Gさんと2回目のヨット練習の日である。時間は、前回と同じく、7時間というロングラン。場所も、前回と同じく、芦屋浜である。生徒はひとりふえて、あっしの位がひとつ上がった。

Gさんと、初めてのTさんは、2人艇のシカーラで。ぼくは一人艇のホッパーで出航ということに。

さて、まずはホッパーの艤装(組立作業)。セール(帆)がメインセール1枚だけだから割と簡単ではある。セールの端が袋状になっているので、そこへマストを突っ込んでいく。マストは3本つなぎになっている。ホッパーの艤装は初めてなので、Gさんに教えてもらうが、Gさんもわからない所は、他のホッパーを盗み見てやる。シカーラより先に艤装完了。

念のため、マリーナの係員に、これでいいですか?とたずねる。OK。さて、いよいよ出艇。台車ごと斜面をくだると、ヨットだけ浮く。乗艇。

ところが、出艇のやり方を教えてもらってなかったもんで、ヨットはふらふら。岸壁にぶつかりそうになる。みんなあきれてるだろうな、と思いつつ、なんとかヨットを出すことができた。よく見ればラダー(舵)がおりてなかった。ロープを引っ張ってラダーをおろす。

きょうは微風。ヨットはほとんど動かない。むしろ、こんな微風だからこそ、初めて1人艇に乗ったけど沈せずにすんではいるのだが。。2人艇のシカーラと違って、1人艇のホッパーは安定性が悪いからバランス取るのに常に緊張している。で、なんとかホッパーに慣れるべく漂っていると、G、Tふたりの乗ったシカーラがやってきた。

G:出艇のとき、もたもたしとったなー。(と、笑う)

私:出艇のやり方きかんと先に出たんが悪かったなー。(と、弁解)

向こうの方に沈してる艇を指さして、

G:てっきり、あれあんさんの船や思てたで。(と、追い打ち)

私:出艇のときはドジったけど、沈まではせーへんわい。(と、居直る)

2艇の間で、苛烈な水上舌戦。

それにしても風がない。他の船をじっと見ていると、普通はヨットが傾く方向(風下側)と反対側の舷に腰掛けてバランスをとるのだが、逆に、風下側にヨットを傾けている。

G:風が弱いときは、わざとヒール(傾き)をつけるんやで。

と、あとで教えてくれた。

立って操縦してるひともいる。早速、真似してみる。サーフィンボードみたいでなかなかおもしろい。

G:立ってる時にブームが返ってきたらどないすんねん!

それもそうだ。あわててしゃがむか、海に飛び込まなあかんやろと思う。

そうこうするうち、風がすこし出てきた。うれしいようなこわいような。。。どきどきしちゃう。。。である。1人艇のホッパーは安定性が悪いから、バランス取るのに必死である。沈したないで。。Gさんたちのシカーラはどっかへ行ってしまったようだ。

また一隻沈している。

近づいてきたシカーラ(G艇ではない)がバランスを崩して、大きく傾いた。アッ!沈するかな?と期待したが、どうにか戻したようだ。

ホッパーに乗っていると、2人艇がうらやましいような気持ちと、おれは一人乗りに乗ってるんだぜ、という誇らしいような独立独歩の気持ちが同居している。

G艇を探しにヨットを走らせる。おった、おった。青い船体のシカーラが走っている。くるっと艇をUターンさせてシカーラの横につける。競争するかのように並んで走る。2艇で競争するのも、けっこうおもしろい。

G:ヒルメシにしょーか。

ハーバーの桟橋に着艇。

G艇を先に着艇させて、ホッパーの係留ロープをとってもらう。

いつもの中華でランチと、いつもの喫茶でレモンティーのあと、(と言っても2回目だけど)午後の部に突入。

シーホッパーの操縦にも慣れてきた。シカーラと並んで走っていると、Gさんが、しびれを切らしたのか、シーホッパーにかわりたいという。水上で2艇をドッキングして、乗員交替。

シーホッパーからシカーラに乗り移ると、さすがに安定感がある。大船に乗った気分とでもいうか。。。ふたり乗りは安心でいいよ。しばらくは、Tさんに操縦をまかせて、こちらはラクラククルー。Gさんはシーホッパーに乗ってひとりで遊んでいる。

きょうは風も弱く、結果的には沈もなく、のんびりした一日だった。沈するくらいのきつい風が吹いた方がおもろいなーと、不遜にもうそぶく私であった。                 


またヨット

9月1日。またまたヨットにでかけた。メンバーはGさんと私の2名。きょうは午後1時からの4時間コースである。予約なしででかけたもんで、1人乗りのシーホッパーは全部出払っている。しかたなくなく、2人艇のシカーラに乗って、Gさんと海に出ることにする。前回よりは風もあってなかなかよし。

海域制限もなく、一路沖合いへ。前回は雷注意報だったかが出ていて、海域制限がもっとも狭い範囲だったので湾内をうろうろするだけだった。きょうは広い沖合いに出て、風もあるので嬉しい。

海からの風のため、ハーバーから海へ出る水路では風上走行となる。何度もタッキングをしながらジグザグに走る。

途中、戻ってくるヨットの大船団と遭遇。ヨットの帆は風向きに合わせて、どの艇もほぼ同じ角度で走ってくるので実に揃っていてきれいだ。大船団とすれちがった後はひたすら沖合いへ。芦屋浜の沖合いには、現在、数十隻の大きな砂利運搬船が停泊している。船と船の間を通り抜けて走るのがいい練習になる。へたに大きな船の風下側に入ると風が止まってしまうので気をつけなければならない。赤錆びた放置されているかのような砂利運搬船の上にはかもめが多数とまっていることもある。

G:沈してかもめに馬鹿にされなやー

まあ、ヨットも3度目。なんとかモノになってきつつある。

私:六甲アイランドの方へ走ろか?

G:どこでも好きなとこ行きなはれ。

停泊船の間を縫って、西へ走る。天気晴朗。東神戸のフェリーセンター、六甲アイランドが見えてきた。六甲アイランドの南に神戸港第7防波堤があるが、その東側の燈台が間近に見える。このあたりフェリーが通るので注意しなければならない。

帰りは、停泊船団と西宮防波堤の間の広い海域を追い風を受けてランで走る。セールを真横に出して、風を受けて走るのでけっこう速いのだが相対的な風がなくなるので実に暑い。Gさんはセールの日陰に頭を突っ込んで暑さをしのいでいる。西宮防波堤の上にはちらほら釣り人の姿も見える。防波堤まではちょっと遠いのと風も少し弱くなってきたので西宮防波堤まで走るのは次の楽しみにする。

G:このあたりで風がぱったりなくなったら困るでー!  (と、早速おどかされる。)

ようよう芦屋沖まで戻ったところで、風がいよいよ弱くなってきた。Gさんのおどすように、パドルで漕いで帰らなあかんのかいなー!と実に情けない気分になったが。。幸い、ちょっと風がましになってきた。沖合いから戻ってくるクルーザーはセールをたたんで機走している。風が弱いのでたちまちエンジン走行のクルーザーに追い越されてしまう。ううう、いやなやっちゃなー。来シーズンはエンジン付きのクルーザー買うぞーー!と、心に誓うふたりであった。

さて、どうにかこうにか岸に近づくにつれ、風が出てきた。やれやれ、助かった!ただし、陸風である。岸に平行に走るにはいいのだが、さてハーバーに帰る段には、風上走行ということになる。ハーバーに通じる水路内では、またまたタッキングの繰り返しでジグザグ走行を強いられることになるだろう。

G:きょうはタッキングのええ練習になるなー!  (と、嬉しそうに笑う。)

私:出るのも入る(入港)のも、風上走行やなんてついてないわーー!  (と、ぼやく)

遠出をしすぎたためか、あたりにはヨットの影なし。と、思いきや、すぐ後ろを一人乗りのホッパーがついてくる。

G:あんさんのコース見てついてくるでーー。

たしかに同じようにマネしてついてくるではないか。(うれしい)

と、する内、突然、ホッパーさん、転覆、沈してしまったではないか!

それーはわたしのせいではなーい。

ときどき後ろをふりかえってみるが、転覆したままなかなか艇を起こせないようすである。レスキューのエイジン付きゴムボートが前からやってきてすれちがう。結局、ぼくたちのヨットがハーバーに着くのと相前後してゴムボートに曳航されてシーホッパーも帰ってきた。

G:着艇ちゃんとできるか? (とたずねる)

私:この前、Tさん乗せてちゃんと着艇したでー

と答えると、安心したようだ。無事、着艇。

本日は、沈なし、出艇、着艇どちらも合格であった。


まだヨット

9月7日。これで4度目のヨット。ほんとは8日の予定だったのだが、台風15号が近づいてるとかでGさんから緊急連絡が入って、一日繰り上げてヨットに乗ることに。繰り上げで行ったもんで、もちろん予約なし。一人乗りのシーホッパーは1艇だけはあいてたが、あと一人で2人艇のシカーラには乗れない。さすがのGさんでも沈したら起こせないわな。しかたがないので、またまた2人艇のシカーラ1艇で海に出ることに。

シーホッパ2艇で競争したかったのになーーー、と恨みが残るが、ええいしかたがない。そのかわり、きょうはまた遠出したるぞ。台風の前ぶれか風はけっこうありそう。

ほぼ追い風を受けて、ヨットは楽々水路を沖合いへ。きょうは、いつもの錨泊砂利運搬大船団もこころなしか少ない。台風を避けてどっか行ってしもたんやろか?それにつけてもオジャマムシなやっちゃ。船団の間をすり抜けて、西宮防波堤との間に広がる水域へ。

フェリーが目の前を横切る。このあたり、フェリーの通り道になっているからさっさと横切らないと危ない。フェリーの通りすぎたあと、引き波を乗り切りながら進む。

船首を南に向けて、防波堤へ向けてどんどん走る。ついに防波堤で釣りをしているひとたちの目の前まできた。釣りのじゃまをしないように少しはなれて防波堤に沿って走る。

アビーム(風と直角)で走れるように進路をとって、どんどん走る。台風のためかうねりがあって、波がセンターボードの穴からどんどん船内に入ってくる。水が入ってくると船が沈むので、ますますセンターボードの穴から水がゴボッ、ゴボッと吹き出しながら入ってくるので悪循環となる。いつのまにか、まるで浴槽が走っているような状態になってしまう。

G:こんだけ水入ったらいっぺん沈さして水出した方がましやなーー。  (と、ぼやく)

私:ほな、そこの船の後ろで見えへんようにして沈させよか?  (と見栄をはる)

ところがちょうどそこへ折りよくカヌーのオールが浮遊してるのを見つけた。早速、落水者救助の練習をかねて、拾い上げる。これで水をかきだそう。Gさんが後ろむきにオールで水をかきだす。私はヨットの前方から手をのばしてラダー(舵)を操作し、セールを加減してできるだけ速力を出す。ようやく水がかきだせた。ほんとはセルフベーラーという排水弁があるのだが、なぜかうまく作動しない。ヨットが走っている際には、水圧で水が排出される筈なのだが。。思うに水が入りすぎていたのだろう。ミズブネの状態から解放されると船足もはやくなる。ハイクアウトして走るのは爽快で最も気持ちがいい。船尾を見ると、かなり速度が出ていることがよくわかる。

ところが、どうもGさんの様子がおかしい。長い間後ろむきにかがんでいたので気分が悪くなったらしい。

G:おえーッ!船酔いしてもたでー!

鬼の霍乱ちゅうやつです。

あわれなGさんのために、波静かな湾内へ入る。追い風を受けて静かに進む。ようやく楽になったようだ。

<ヨットに乗っていて船酔いせーへんか?>という質問はときどきあるのだが、正直言って、<船酔いします>というのが正解。(ぼくの場合は)陸にあがった後も、波の揺れが体に残っていてゆらゆらしていることもある。<オカ酔い>というらしい。これは海水浴に行って一日中泳いでいた場合も同じ。夜寝ていると、波間に漂って浮かんでいるような感覚になる。けっこう気持ちがいいけど。。。

7時間コースで朝から乗る場合は、たいてい午前中は一度は気分が悪くなる。でも、昼ごはんを食べるとけろりと治るからあら不思議。まあ不思議。午後からはまず気分が悪くなることはない。自分がメインでヨットを操縦してるときはまずだいじょうぶである。

湾内で残り時間をすごした後、着艇。これまで4回のうち2回までタイムオーバーしてるからたまには早くあがってもいいだろう。タイムオーバーしたときは<係員の出迎え>があるのだが、定刻通りだとお迎えがないのが寂しい。矛盾してる。で、しょうがないから船台を自分で取りにいって、自分でヨットを乗っけるのであった。ああしんど。