実録・ボートの3人男


1991年夏。琵琶湖にてモーターボートで遊ぶ。

運よく、ボート免許がとれたので
早速、琵琶湖へ行ってきました。

神戸  848
叡山 1002
ということで、JRで1時間14分であったのだ。

神戸駅からやと席あいてるやろと期待していたが
みごとにハズレ。
三宮でも座れず、大阪まで立つはめに。
ふだん、はたらいていないJはぶつぶつ文句をヌカス。
しまいにうんこ座りしてしまったJであった。
朝メシくてこんやつが悪い。

通勤通学なるものには、高校の2年間を除いては縁のない私でさえ
しっかり立ってるのに。。。
ちなみに私はしっかり2はいメシくてたぞ。

さて、オーサカ、さすがに大阪。。
大阪からは立ってる乗客がなくなったくらいすいた。
座った途端に寝てしまうJであった。

今回のメンバーをもうひとり紹介しよう。
日焼けして顔が黒いのと、どこにでも出没するため、
<ねずみ男>と呼ばれている。
ゆえに、ここでは<ね>としておく。

<ね>は、Jの寝てる間も
琵琶湖特集の載っている雑誌、
クルージングワールド6月号、7月号を
ひたすら読みふける。実に感心なやっちゃ。

あと、重たい雑誌以外に持ってきたのは、水着以外には無線機。
万一、湖上でエンジン故障、燃料切れ、行方不明者?などが
出た場合にきっと役立つだろう。
琵琶湖の海図?というのはなくて、
琵琶湖水域図というのが滋賀県から出ている。
これはマリーナでこれから買うつもり。

ところで、海技免状忘れた。
Jが<持ってったかー?>と聞くので、
<なにがやーー?>と言うと、
海技免状!

まー、船にひとり免状持ったやつが乗ってたらええんで
ドンマイ、ドンマイ。
なんかあったら、免状持ってるやつの責任やしなーー
と、植木等の無責任男。

京都からは6両編成に切り放されて、湖西線へと入る。

京都、山科、西大津、唐崎、叡山、雄琴、堅田、和邇、蓬莱、滋賀、
比良、近江舞子、北小松・・・

叡山下車。
あれあれ、立派な駅じゃあーりやせんか?
だれや?無人駅やから切符イラン、1区間だけ買おうゆーたんは!
ちなみに神戸からだと短距離切符(自動販売機で買える)最高額の1590円でした。

ここで、Jが職場の女子行為室、まちがい更衣室へ電話するという
ドジの後始末をする間に、
nature call me で無人駅?の駅員に断って駅のトイレへいく。
きょう一日、Jが、無人駅ネタでいじめられたことは
言うまでもない。

さて、腹ヘッタCALLのわきおこる中、
駅前近くの焼き肉屋でなぜかモーニングサービスの紅茶とトースト。

道草食いながらようやくマリーナ到着。
設備の整った立派なマリーナである。

フロントで出航届に記入して、
陸置きしてあるボートを水面におろしてもらうべく
忙しく動きまわっている係員に船名を告げるが
<Where is your boat?>
というばかり。
(ほんとは日本語でっせ。気分、気分、)

しかたなく広いマリーナ内をそれらしき船を探し回るがいっかな
見つからない。
シートがかぶせてあるのでよけいにわかりにくく、
手がかりは、船台に書いてあるローマ字だけ。

マリーナハウスでさぼってるJと<ね>にも探させることにする。

ようやく発見!

しかしまあ、よーけ、船があることよ。

おろすのは今年はじめてということで、
一同、ギクッ。
バッテリー結果オーライ、プロペラたたきなおしてok、
燃料まんたん、オイルべっちょなし、で
いよいよ水面へ。

海技免状持参者に敬意を表して、まずJにハンドルを握らせる。
マリーナが見えなくなったあたりで交替。

琵琶湖大橋より南の<南湖>は水深が4mと浅く、水質もよくない。
マリーナから琵琶湖大橋まで直線距離で北8km。
大橋の手前まであっという間にとばす。
さすが、練習艇とちがって速い。

大橋の向こう、北湖側にミシガン発見。
イトコがこいつの引き波受けたらえらいでーと忠告してくれてたので
どこかへ行ってしまうまで、南湖でブラックバスを釣る。

<ね>の手製バス竿でワームのルアーを泳がす。
けっこうバスさんいるみたい。
次回は本格的にやろうっと。


ミシガンがいなくなったので、琵琶湖大橋をくぐって北湖へ。
北湖は最深部103m、大阪湾に匹敵する広大な水面がひろがる。
もちろん、対岸は見えない。

沖合いの水は澄んでいて、そのまま飲めるくらい。
まあ、この下流の下流のそのまた下流の水をこしたのが
神戸の水道水になってるんやから当たり前ではあるけれど。。

湖水浴場になっているワニ浜の沖合いで停船。投錨。
(と、漢語で書くとカッコエーかな?)
ここで入水。(というと自殺になる)

ついでに、タオルで船体外部を洗う。
クモの巣やカマキリのたまごがあったりして
なかなか自然の趣がある。
なにしろ、エンジンの横には鳥の巣まであったんだから。。

淡水だから濡れたままでも乾いた後、べたつかないので気持ちがいい。

錨をあげて(揚錨)、次のポイントへ。
琵琶湖にはあちこち<えり>(魚ヘンに入だったと思う)があって
湖水の魚がはいりこんでくるのを待つ琵琶湖特有のしかけがある。
長大なものになると数百メートルもあるので、
沿岸近くを航行するときは注意しなければならない。

ワニ浜から北上すると、近江舞子、雄松崎、
このあたり、ヨットがいくつか係留されている。
ジェットスキーが水しぶきをあげながら走っているが、
ええかっこをしすぎたのか、転倒した。ざまみろ。

ジェットスキーに引き波を及ぼさないよう、離れてゆっくり走る。
(なかなか紳士的でしょ。)

湖上に、宮島のような鳥居が見えてくると、しらひげ浜である。
白髭神社が見える。Jが船上からなにやらお願いをしている。
カネガホシイクルマガホシイパソコンホシイファクスホシイクルーザーホシイ。。。

車と競争するかのようにボートは並行して走る。
だいたい50km/hくらいの速度だろう。
なにしろ、速度計も回転計もなぜか0表示のままなのだ。
(陸にあがってからマリーナのおっさんに聞いたら、
 エンジンの下の方に小さな孔があいてるのがゴミなどでつまったら
 表示しなくなるのだそうだ。針金でつついておけばよかった。)

しらひげ浜の沖合いに船を止めて、錨をおろす。
浜に自動販売機があるのでJが缶ジュースを買いに行くことになった。
しばらくして、缶ジュースを乗せて帰ってくる用に
ライフジャケットが要るのに気がついて、
<ね>が首にかけて追いかける。

操船技術のもっともましな私が船の番をするのでとても安心である。。

浜から見とったら、
<チンピラがふたり連れもって缶かん買い出しにきよるわ>
という図ではある。

組長?は悠然と釣りをしている。

<遠かったわー!>と叫びながら、チンピラたちが戻ってきた。

Jと<ね>はじゅうぶん泳がせたので出航。

コンパスを頼りに見えぬ対岸をめざす。
E90度にフルスピードでとばす。
前方に島らしきのが見えてきた。
このあたり360度、船影なし。ぼうぼうたる大海のおもむきである。
島の右前方に白い船のようなもの。
双眼鏡で確認すると白い岩が湖上に突き出ている。
<沖の白石>と呼ばれる岩礁である。

実は、水鳥の糞で白くなってるのだ。
世の中、こんなもんである。

白石のまわりを暗礁に注意しながらぐるりと回る。
<ね>が早速バス竿を出すが、アタリなし。

先ほどの島に向かう。
遊覧船らしきのとすれちがう際、
スピードを出していたので、引き波で2、3度大きくバウンドした。
<ね>がイテーと叫ぶ。
一瞬、宙に浮いたとかで足をちょっとくじいたようだが
たいしたことはなかった。
以後、近くをデカ船が通るときは速度を落とすようにしよう。
人命救助の練習まではしなくていいだろう。

多景島(たけしま)に着いた。
彦根から来ている遊覧船が桟橋に着岸している。
周囲500mほどの小島である。

島には寺があるので、というより、寺しかないので、
湖上にまで線香のにおいが流れてくる。
たしか見塔寺という名前だった。
名のとおり、位牌のでかいような塔が島のてっぺんに立っている。
参拝ボート用の小さな桟橋が別にあるのだが、
一隻すでに泊まっている。
もしかして、ボーズの船やろか?

桟橋に船をつけると使用料がわりにお布施が要りまっせ!
と、クルージングワールド7月号琵琶湖特集(ふーっ、なげー)
にしっかり書いてあるので、記事を尊重して、
上陸しないことに満場一致で決定。
またもや、船上から<パンパン>して、お賽銭もあげずに
お願いをするJであった。
ほんま信心深いやっちゃ!
(まあ、おかげで無事航海を終えることができたのであった。)

島の周囲は水深があるのと、底が岩なので、錨をおろさずに漂泊する。
さすがに琵琶湖のど真ん中。水はきれいだが冷たい。
しばらく泳ぎまわった。
<ね>はボーズのたたりも恐れず、島に向かってバス釣りのルアーを
投げている。もちろん、釣果はボーズであったのは
nothing to say である。

島近くに泊めたボートだが少し流されている。
湖といえど流れはあるようだ。

ボートから飛び込んだり、泳いだりするのはいいのだが、
船尾のハシゴが短すぎてのぼるのがつらい。
ちとダイエットせなあかんなーー。
次回は、ナワバシゴ買ってこよう。

補足。JRを交通手段に使ったのは
   ラジオの交通情報で
  名神高速、天王山トンネル先頭に20kmの渋滞、
  阪神高速、魚崎先頭に9kmの渋滞。。。
  なんて、恐ろしい。
  JRの新快速で行くのが一番速くて確実なのでした。


いよいよ帰り道。
思えば遠くへきたもんだ。。

水域図もなしに、雑誌の特集号に載ってる簡単な地図だけで
ここまで来たのは無謀というかさすがというか。
(琵琶湖水域図はマリーナに戻ってから買った、という、とんでもなさ)

多景島からマリーナまでは直線距離にして約38km。
本日の実航行距離は100kmを越す。
初航海にしては、よくとばしたもんだが、
これですっかり変な自信がついたのもたしかである。

愛知川河口をへて、沖の島の北をまわり、長命寺、。。
と、エリを避けながら走る。

沖の島の北側には、近江舞子のあたりで超スピードでとばしていた
まっかなクルーザーが停泊している。
いかにも速そうな高そうな船ではある。

<我は湖の子。。>で始まる琵琶湖周航歌にも出てくる、
西国10番札所の長命寺がある。

雄松が里、今津、長浜、竹生島などもこの歌に出てくるが
いずれも北湖の地名であるのはおもしろい。

ちなみに、琵琶湖周航歌は、高校に入ったとたん、
まだ右も左もわからない新入生の頃に、
応援団なるけったいな連中が昼休みや放課後にやってきて
校歌練習、応援歌練習をさせるのであるが、
(なかにはラグビー部歌、野球部歌なんてとんでもないのまであった)
そのおりの歌集に入っていた。

一高寮歌(嗚呼玉杯になんとかかんとかでやたら漢語だらけ)とか
三高寮歌なんかもなぜか歌集にあったが、
燈台や鏡台は生徒にはさっぱり人気がなかった。

さて、風波が出てきたのでフルスピードでは走れない。
デッキではJと<ね>が気持ちよさそうに腹を上にして寝ている。
あとできいたら、船の揺れがちょうど眠りのリズムにあってたんだとか。

野洲川河口をすぎると、琵琶湖大橋が見えてきた。
帰ってきたぞ!という感がある。

大橋をくぐる。
船首に何人も乗せたボートとすれちがう。
これは見るからに危ない。
きつい波をくらったら、一発で落水者が出そうだ。

岸辺近くには、バス釣りをしている手こぎボートが浮かんでいる。
ボートの上で立って釣りをしているので、
速度を落として離れて通る。

さて、マリーナはどこやったかいなー?
あった、あった。
ここやったなー?と、Jと<ね>に同意を求める。
水上から見る岸辺の風景はわかりにくい。

マリーナをすこし行きすぎたところで停船。
水着もすっかり乾いている。
ズボンにはきかえて、マリーナ入港。桟橋に着岸。係留する。
係員にそのまま船を渡してリフトに乗せてもらおうと思ったら、
<初めてでもだいじょうぶ>とのこと。
(まあ、こんだけ一日中しっかり遊んできた連中やから
 だいじょうぶと判断したんだろうが)

いとこの話では、リフトに船を乗せるのは難しいから
係員にやってもらえ、て言ってたのに。
まあ、とにかく、やってみることにする。ぶちあててもしらんで。

ゴンドラリフトの中には、船台が乗っていて
水中に沈んでいる。
ボートをゴンドラの中へうまく入れると、
リフトが上がって、船台の上にボートが固定されるというわけだ。
なんとか成功!

車の運転でも、初心者には、
車庫入れ(ゴンドラ入れ)、縦列駐車(着岸係留)が難しいのだ。

フォークリフトが船台に乗ったボートを陸置き保管場所へひっぱっていく
さまは実に見事で、ビッシリ並んだ船の間に、ほんのわずかなすきまだけ
残して、船を入れてしまう。パチパチ。

船にカバーをかけて、バッテリーのコードを外して、
陸置き完了。

<また遊びにおいでな>というマリーナのおっさんに
見送られてマリーナハウスに向かうボートの3人であった。